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スマホサイズに収納可能な超小型ルアータックルセット
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- 世界最小クラスの超小型ベイトリールと、仕舞寸法14.5cmの超小継ルアーロッドを組み合わせた、超小型ルアータックルセットです。
収納時の投影面積がスマートフォンサイズで、いつでもどこでも持って行けるのが特徴です。 -
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スペック
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ロッド
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- 全長:95cm
継数:9
仕舞寸法:14.5cm
重量:35g
ルアー重量:1-5g
カーボン含有率:-(#1:チタン、#2-9:グラス) -
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リール
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- ボディ直径:28mm
重量:50g
巻取長さ:58cm/ハンドル1回転
ギア比:9.2:1
糸巻量:PE0.6-60m
スプール直径:20.3mm
主要材質:高強度アルミ合金、高強度銅合金、ステンレス鋼 -
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開発のきっかけ
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- きっかけは「コロネットミニで釣りがしたい」と考えたことでした。
コロネットミニはダイワ精工が販売していた直径28mm(実測)のリールで、発売当時「世界最小のリール」を謳っていたようです(生まれる前のことなので、資料等持っていないのですが)。車でも釣り道具でも小さいものが好きで、「世界最小」という響きに弱い私は、この世界最小のリールでルアーフィッシングがしたいと考えました。
コロネットミニはスプールフリーにはならず、糸を送り出すにはハンドルごとスプールを逆転させなければいけません。しかもハンドルがシングルハンドルですから、回転のブレが大きいのです。まずは手始めにショートのダブルハンドルにすることで回転バランスの改善を試みましたが、5gのおもりを数m飛ばすのが精一杯でした。
ダブルハンドル化の次の策として、スプールの軽量化や、軸受けのボールベアリング化、クラッチの増設などを検討しましたが、そこまでするならもういっそリール自体新たに作ってしまおうという考えに至りました。 -
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こだわり
- こだわったのは大きく以下の2つです。
・直径28mmボディの限界への挑戦
・ストレスなく釣りを楽しめる実用性 -
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直径28mmボディの限界への挑戦
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- せっかく一から作るのですから、コロネットミニと同じ直径28mmのボディでどれだけのことができるのかにチャレンジしました。
アンバサダー5000の登場以来ベイトリールのスタンダードになっている、レベルワインダー/クラッチ/アンチリバース/ドラグ/キャスティングブレーキの搭載を目標に開発し、その全てを搭載することを実現しました。
※コロネットミニはアンチリバースのみ搭載 -
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- ・レベルワインダー
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- スプール糸巻き部の幅12mmを往復し、きれいな平行巻きを実現します。
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- ・クラッチ
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- スプールフリーによるスムーズな糸の放出を実現します。
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- ・アンチリバース
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- 現代リールのアンチリバースといえばワンウェイクラッチが一般的ですが、このサイズにあうワンウェイクラッチが存在しないことから、古典的なラチェット式を採用しました。
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- ・ドラグ
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- ラインブレイクはもちろんですが、破損防止のためのものと考えています。
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- ・マグネットブレーキ
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- 外部調整ダイヤル付きでブレーキ力の調整が容易なマグネットブレーキです。
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ストレスなく釣りを楽しめる実用性
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- 実用性を犠牲にすればいくらでも小さくすることは可能ですし、”ちょっと気の利いたボビン”のような海外製の携帯釣り具は以前から存在していますが、このタックルセットはあくまで実用的なルアータックルであることを目指しました。
リールだけでは釣りは成り立ちませんので、専用のロッドもセットで作ることにしました。
タックルの大きさから対象魚の大きさには限度がありますので、30cm/300g程度までの魚をターゲットとしたルアーフィッシングにおいてストレスを感じないことを目標にしました。
小径スプールと専用ロッドによって2-5g程度のルアーをキャストしやすく、9.2:1のギア比によってハンドル1回転あたり58cmの巻取り量を実現し、川の流れに負けることもありません。 -
- 小さなボディで大きなギア比を実現するため、一般的なリールより多くのギアを組み込んでいます。
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リターンについて
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- リターンは超小型ルアータックルセットの量産試作モデルです。
量産試作とは、量産前に、本当にその設計で量産してよいかを確認するためのもので、試作の最終段階です。
基本的には量産品と同等のものとなりますが、全く同一であることは保証できないこと、またあくまで試作品であることをご了承ください。
リターンの提供時期は2024年12月下旬~2025年1月下旬を予定しています。
開発の進捗次第では遅れてしまう可能性があることをご了承ください。
リターンに含まれるものは以下の3点です。
・ロッド(量産試作モデル)
・リール(量産試作モデル)
・簡易的なケース(市販品のガジェットポーチ) -
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- ※写真は全て開発中のものであり、実際のリターンとは異なります。
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過去のアップデートなど
- 現在写真を撮れるごく限られたものですが、参考程度に過去のアップデートや検討内容を記載します。
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リールシート
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- テネシーグリップ風のスライドリングによる固定方式から、一般的なねじ締結に変更しました。
リールシート中央部にくびれを設けることで、トリガーレスでも指が少し引っ掛かるようにしています。 -
ティップセクション
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- 見た目、収納しやすさ、曲がりのきれいさ、キャストのしやすさの観点から現在も検討中です。
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スプールシャフト
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- スプール支持位置を変更するのが大きな目的でしたが、キャスティングにも大きな恩恵がありました。
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FAQ
- 釣りフェスティバル2024やHPなどでいただいた質問と、その回答を以下にまとめます。
- Q.何釣り用の道具ですか?
A.30cm/300g程度までの魚を想定していますが、対象魚種は特に設定していません。トラウト(渓流、管理釣り場)、チャビング、ライトソルト、バス、ハゼ釣りの実績があります。
「旅行先や出張先で隙あらば釣りがしたい」、「常に鞄に入れておいて『自分はいつでも釣りができるんだ!』という気持ちでいたい」、「登山や沢登りの途中で釣り(食料調達)がしたい」、「○○に使えそう」、「××で使ったら何が釣れるだろう」などのイメージを持てる方におすすめします。
Q.50cmや60cmの魚は釣れますか?
A.魚種と腕と運次第です。現在のところ最大は45cmのラージマウスバスで、指ドラグは必要でしたが、特別苦労することなく釣り上げられました。
ただし、想定はあくまで30cm/300gであることをご了承ください。
Q.何gのルアーが投げられますか?
A.2g~5g程度のルアーを推奨しています。1g程度から投げることは可能ですが、ベイトフィネスリールというわけではありませんので、ストレスを感じないのは1.5g以上からとお考えください。AR-S トラウトモデルSH 1.5g(実測1.7g)はよく使っています。
Q.何m飛びますか?
A.陸上でメジャーを用いてまでの正確な計測はしていませんが、目安として、ほぼ無風状態で2gシンカーが17-18m程度飛ぶのを確認(google mapによる測量とハンドル回転数からの推定がほぼ一致)しています。
Q.使いづらくはありませんか?
A.大きさの制約がある中で、実用性を最大限に追求したつもりです。小径スプールの最大の弱点である巻取長さはギア比を上げることで克服しています。ハンドル1回転あたり58cmの巻取長さは、渓流で人気のオールドアブ(1500~2500)を上回り、現代スピニングリールの1000と同等です。
Q.小さいことによるデメリットはありますか?
A.スプールが小径なので遠投は難しいです。
ドラグディスクの面積を確保するのが難しいことからドラグ力が小さいので、大物に対しては指ドラグ(サミングの要領で糸の出る量を調整すること)で対応する必要があります。また、調整しろが小さいです。
アンチリバースがワンウェイクラッチではなくラチェット式ですので、遊びが大きいです。
Q.その他にデメリットはありますか?
A.巻き心地や完成度、高級感など、大手メーカーの製品と比較して大きく劣ります。小さいボディにこれでもかと詰め込まれた機能や、ほかにない携行性に魅力を感じる方におすすめします。
Q.海で使えますか?
A.使用後のメンテナンスは必要ですが、使えます。使用後のメンテナンスは必ず行ってください。
Q.メンテナンスは特別な方法が必要ですか?
A.一般的なリールと同様です。オールドアブ等のリールの分解、整備ができる方なら問題なく行っていただけます。プラスドライバー00番と、M2.5用(対角5mm)のスパナかソケットレンチ(あるいはモンキーレンチ)があれば完全分解が可能です。
Q.高いですね
A.富士工業製ガイドとねじなどの一部部品を除いて専用設計の特注品であり、そのすべてを国内で小ロット生産していますので、それが価格に反映されています。 -
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プロジェクト終了後の展望
- よそがやらない、穴を埋めるような製品を世に出していきたいと考えています。
この超小型タックルセットをきっかけにワクワクするようなモノづくりに邁進いたしますので、応援してくださると幸いです。 -
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- 先日、この超小型ルアータックルセットを源流釣行に持ち込んだのでその際の使用感をレビューします。
今回は2泊3日の予定の源流取材に持ち込みました。ザックは50Lで、カメラや食料や寝具などで一杯になり、自分の釣り具は二の次になりがちです。それでも荷物の隙間にあっさりと入ってしまうコンパクトさはとても重宝しました。日常生活に忍ばせるのもとても簡単だと思います。今まで源流に持ち込むのなら一番コンパクトなのはテンカラだと信じていましたが、ルアーを2、3個用意してもこのタックルセットが一番小さいのではないでしょうか。
仕舞寸法が14.5cmなので偏光グラスのケースに入れて持ち運ぶことができました。 -
- ロッドを継いでラインを通すと一般的なタックルをそのまま縮小したかのような感じです。持ってみると意外と手に馴染むのでつい笑ってしまいました。ショートロッドなので持ち重りは全くなく、慣れればどんな小場所でも投げ込めそうです。
今回はラインがPEの0.6号にリーダー1.5号を30㎝のセッティングでした。
まずはキャストをしてみます。恐る恐るそっと投げると全く飛びませんが、普段通りにしっかりロッドを曲げれば問題なく飛びます。ブレーキ調節をすればトラブルもなく、小渓流なら楽しめる飛距離が出せます。小口径スプールということもあり遠投は厳しそうですが、ベイトリールなのでサミング次第でピンポイントキャストも簡単に決まります。
次にリーリングですが、これはハンドル1回転58㎝というだけあって普段と同じ速度でハンドルを回せばほぼ普段通りのリトリーブができます。ただし、ハンドルが短いのでいつもと全く同じように、とはいきませんが、小さいタックルで釣りをしているという実感と面白さがあります。
巻き心地ですが、これは現代のベイトリールの滑らかさではありません。しかし、大きなガタつきがあるわけではなく、渓流ではエリアトラウトのような繊細さを求めていないので特に気になりませんでした。
気になったのは、ハンドル長が短いとただ巻きはできるのですが、連続トゥイッチはとても難しいです。右手と左手の連動がうまくできませんでした。ハンドルはもう少し長いほうがアクションをかけやすいかなというのが正直なところです。
そのため、用意したルアーはスピナーとシンキングミノーでしたが、ただ巻きで誘えるスピナーを主に使いました。 -
- ロッドはグラスといえどもチューブラーのため張りがあります。スピナーのブレードの回転もしっかり伝わってきました。岩陰の小さなポイントでのバイト(おそらく小型)は弾いてしまいましたが、巻き返しで当たった良型はしっかりフッキング。ヒットエリアは急流帯だったためにイワナは流れに乗って一気に下りましたが、ドラグが機能してバレることなくラインを送り出してくれました。ロッドもバットまで曲がってはいるものの安心感があり、岸際に寄ったとはいえ、流れの中にいる魚を一段上流へ引き上げることもできました。釣れた魚は28㎝ほどでしたが、何よりもこの小さなタックルで釣ったという達成感がとても面白い!さらなる大物でも指ドラグを駆使すれば対応できそうです。
余りあるコンパクト性と充分な実用性がとても面白いユニークなアイテムです。この機会にぜひ手にしてみてはいかがでしょうか?