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釣り場が閉ざされる―そこから始まった挑戦
- 2022年の夏、西伊豆町の田子漁港で、漁業者と釣り人の間でトラブルが発生し、釣りが全面禁止となりました。当時、横浜から移住したばかりだった私は、西伊豆での釣りを楽しみにしていたため、このニュースに大きなショックを受けました。トラブルなどで釣り場が閉鎖される例は全国的に増加しており、一度閉鎖された釣り場は再開放されないことが定説だったためです。
当初は諦めてしまう気持ちもありましたが、「どうにかならないだろうか」と、これまでのクリエイター経験を振り返るうちに、アプリと現場巡視の組み合わせによる新しい釣り場のイメージが浮かび上がってきました。そして、試作品と企画書を手に西伊豆町役場を訪ね、少しずつ漁協や地元の方々、町議会へと理解を広げていきました。その結果、条例が改正され、田子漁港は釣り禁止から1年で再び釣りができる場所へと生まれ変わりました。 -
- こうして誕生したのが「海釣りGO」という仕組みです。海釣りGOは、アプリを通して釣り場・駐車場の予約と利用ができるサービスです。個人の裁量に任されていたこれまでの海釣りに対し、釣り人を責任ある漁港利用者として位置付け、適切なルールのもとで適正な利用料金を漁港管理者に届けることができます。
現地の案内や美化活動など、人でなくては出来ない部分を現場巡視員が担い、決済や受付をソフトウェアが担う、メリハリあるシステムであることも海釣りGOの特徴です。運用面での負担を極力軽くできるため、収益金を積み立てて漁港への設備投資や資源保護など、将来に向けた投資に回すことが出来ます。スタッフの巡視は漁港施設の継続的な美化が実現するだけでなく、地元雇用も創出します。
田子漁港での成功をきっかけに、現在では仁科漁港でもこの仕組みが導入され、多くの釣り人の方々に繰り返し利用いただいています。漁協にとっても欠かせない事業となり、地域全体が少しずつ新しい未来を描き始めています。
釣り人が地域を支え、正々堂々と釣りができる世界を拡げたい――それが私たちの挑戦です。 -
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成し遂げたいこと
- 物心ついたころから、釣りに親しんできた私は「一度釣り禁止になったらもう諦めよう」は常識として受け入れていた部分があります。しかしながら、半ば飛び込む気持ちで海釣りGO企画を始め、その結果「正々堂々と釣りが出来る世界」を作ることにより、「地域振興と釣り場開放は両立できる」ということを実体験として気づくことになりました。視察に来られる方から導入したいとお声がけいただくことも多くなり、お客様にも〇〇〇というエリアを開放してほしい、と頻繁に相談いただきます。
されど釣り場の開放。二つ返事でオープンを請け負えるほど、単純なものではありません。問題が起きやすいから釣り場が閉鎖されたのであり、覆すのは大変です。でも不可能でもない。西伊豆での実績・経験と、丁寧なコミュニケーションがあれば少しずつでも釣り場を増やしていける可能性はあります。そういう挑戦こそクラウドファンディングを活用すべきじゃないかという後押しもあり、このプロジェクトを立ち上げました。
目標は、釣り禁止の連鎖を断ち切り、釣り人も地域の方にも望まれる釣り場を増やすこと。そのために私達は、釣り人と地域を繋ぐコーディネーターとなり、関係者の懸念点をひとつひとつ取り除き、デジタルの力も活用して釣り場開放までの道筋を描いていきます。このプロジェクトを通して、皆様とは釣り場を作るプロセスとドラマを共有し、釣り場の開放というゴールを共に祝いたいと思っています。 -
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企画立ち上げのリアルを共有
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- はじめに立ちはだかり、かつ最も高い壁が企画の立ち上げです。釣り人からすると釣り場候補地ですが、他の関係者からすると立ち入り禁止区域です。釣り場利用という同じ目線を共有するためには、計画を練り上げて関係者の方々の納得を得る必要があり、この部分は起案側が自発的に動くしかありません。都道府県、市区町村、漁協、漁業者など多くの立場の方が関わり、現地で複数回の提案を行うことが不可欠です。なんらかの事情で釣り場運用を断念せざるを得ないリスクもあって、見通しが立てづらく長期化する活動と言えます。個人間の信頼で進めていくフェーズであるため具体的な内容は伏せざる得ないとは思いますが、釣り場開放が地域の方々の理解と譲歩の上で成り立っていて決して単純なものではないことを共有していければと思います。
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釣り場を作るワクワクを共有
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- 企画が定まった後は、釣り場の基本設計、実施設計、施工・実装へと進みます。エンジニアリング・デザイン・建築設計・法務など専門業務が続くフェーズですが、その中でも多様な意見が必要になり、かつワクワクする業務が釣り場の仕様策定です。どこでどういう釣りを推奨すべきか、必要な設備はなにかなど、想定するユーザーを踏まえた仕様に落とし込む必要があります。応援者の皆様には、釣り場調査に同行いただき、釣り玄人やお子様連れなどそれぞれの立場からのご意見をいただきたいです。
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釣り場誕生の感動を共有
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- 企画段階からいくつもの壁を越えて、ようやく釣り場が完成しオープン日を迎えます。そこには達成の喜びと、関わってくださった方々への感謝があり、やってよかったと思える瞬間が待っています。その感動を分かち合うために、皆様には節目節目にプロジェクトの経過報告を行います。また、集大成としてメモリアルブックを作成し共有いたします。
メモリアルブックは対外的に発信する釣り場情報とは異なり、釣り場が出来ていく裏側に焦点を当てます。地域課題を解決し釣り場をオープンした証、そして関わった方々の人生の一幕として、記念となるようなブックを作成します。釣り場開放をすすめていくと、現場調整を中心に損得関係なく汗を流したり便宜を図ってくださる方が必ずおられます。そういった方々にも感謝をこめてお渡しします。 -
ご支援の使途とリターン
- 本プロジェクトはAll-in方式です。支援金総額に関わらず実施します。達成目標は200万円とし、ご支援いただいた費用はプロジェクト活動に充当します。応援者の皆様と共に「釣り場開放プロジェクト」を2025年最後まで走り抜き、結果として釣り場が増やせるよう励んでまいります。
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全応援者様へ
- ご支援いただいた方全員に対して、節目ごとにプロジェクトの進捗を共有いたします。
そしてご支援の証として全員の御名前を特設Webページおよびメモリアルブックに銘記いたします。
また今回、応援時のフォームに入力欄を用意いたしました。そこに開放を希望する釣り場をご記載ください。新規アプローチ時の候補とさせていただきます。
※ 特設Webページについては、釣り場開放プロジェクトの進展に伴い開設いたします。釣り場開放地点の記録と貢献者として応援いただいた皆様の御名前をセットにし、本プロジェクトが続く限り永久に記録します。 -
釣り場調査について
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- それぞれの釣り場で、オープンに向けて何度か業務として釣りを行います。初期段階では釣座や周辺環境の把握など釣り場全体の仕様決定に必要な情報を集め、後半になると釣り場紹介に使う宣材写真撮影なども行います。オープン後も、季節に応じた釣り方紹介など業務としての釣りが必要になるシーンがあります。皆様には特定の調査ミッションを担って、私達の釣り調査に同行いただきたいと思います。
なお、私達の拠点が西伊豆である影響もあり、現状釣り場の検討が進んでいるエリアの多くは東海道線沿いです。皆様に調査依頼を出す際も東海道線沿岸部が多くなると予想されますので、ご承知おきください。 -
シンボルマークに込めた想い
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- 込めた想いは「釣り場を未来へ繋ぐ、虹の架け橋」。釣り場開放プロジェクトのシンボルマークです。
◆フレーズ ”Hello! New Fishing Spot”
閉ざされていた釣り場を、気さくに声をかけあうことができる釣り場に変えていく。
新しい釣り場の誕生、釣り場で出会う地域の方と釣り人、両方の意味を含んだ”Hello”です。
◆虹の架け橋とニャーゴ
魚が釣り上がった瞬間と、しぶきによる虹をイメージ。
釣り人が地域を支える、明るく楽しい釣り場を未来に残したいという想いを込めました。 -
さいごに
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- 釣り人が地域を支え、釣り場の未来をつくる。難易度はとても高く、だからこそ挑戦する価値があると考えております。皆様との共創がとても楽しみです。プロジェクトへのご参加・応援をどうぞよろしくお願いいたします。
株式会社ウミゴー代表取締役
國村大喜 -
応援メッセージ
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- 近年、釣り場が閉鎖されるニュースを聞くたびに心を痛めていました。
そしてついに、自分が幼い頃から釣りをしてきた田子漁港でも大きなトラブルが起きてしまい、漁港の管理業務を担当していた私は、断腸の思いで釣り禁止に踏み切ることとなりました。思い出の詰まった釣り場がなくなってしまっただけでなく、自分の子どもたちの釣り場がなくなってしまったことに悲しんでいた矢先、國村さんから「海釣りGO」のご提案をいただきました。「この仕組みなら釣り場を開放できるかもしれない」と思い、それ以来、私も立ち上げに関わり、情熱を持ってご支援してきました。その結果、「海釣りGO」により釣り場が開放されたことで、自分の子ども達に釣り環境を残すことができ、大変嬉しく思っています。
「海釣りGO」は、釣り場を新しい形で未来に繋いでいく、釣り人と地域が共存するための仕組みで、今回のクラウドファンディングは、より多くの方々とプロジェクトを進めるための大切な一歩です。そして、応援してくださる協力者の皆様は、大切な釣り場を守る仲間だと思います。
釣り文化を後世に引き継ぎ、新しい釣り場の未来を共に考えて、この挑戦にぜひご参加いただきたいと思います。このチャレンジが成功し、釣り場の未来を明るく照らしてくれることを、心から応援しております。
静岡県西伊豆町 産業建設課 農林水産係主査
松浦城太郎 -
- 朝堤防を見ていると、堤防の先端部まで散歩されている方が多くいらっしゃいます。
海釣りGOを始めてから明らかに漁港がきれいになり、また礼儀正しい釣り人さんに来ていただいたおかげで、かつては釣り人の存在に抵抗感があった住民の方にとっても安心できる散歩コースになりました。当初はどうなるかわからない中とりあえず始めてみようという精神でスタートしましたが、今改めて振り返ると、始めてよかったな、という想いです。
町で予算が付かないような細かなことができるようになったことも大きく、これまで雨除け・水道の設置、はしごの設置、AEDの更新などを行ってきました。地区の方の助けも借りて漁港に花壇も出来はじめています。個人的には、高齢化が進み子どもたちがどんどん減っているなかで、家族連れの子どもたちが楽しんで釣りをしている様子を見られるようになったこともうれしいことでした。
漁協として地域として、これからも田子漁港に来ていただいた方々へ還元していきます。またそういう関係を作ってくれたウミゴーさんに感謝しています。
伊豆漁業協同組合 田子支所長
真野創 -
- 一昨年に田子漁港で海釣りGOが始まり、昨年8月には仁科港でも海釣りGOが始まりました。海釣りGOを始めた当初は漁民・組合員・漁協職員からは色々な不満も出ましたが今ではほとんど聞かなくなりました。ルールを決め有料化した事によりマナーの良い釣り人が集まり、治安が向上し、ゴミの放置も少なくなったためだと思います。先日も家族で来てくれているお客様に「海釣りGOどうですか?」と尋ねると、「釣り場が確保されていて、変な釣り人が居らず治安良く、とても楽しく家族で釣りが出来ます」と言っていただくことができました。
漁協側から見ますと、漁港の管理が行き届いていて警察とも連携を取りやすくなり、密漁者が激減しました。海釣りGOの釣り場解放は、地域の活性化・密漁の激減等に繋がります。他の地域でも海釣りGOを取り入れて行けるように応援して行きたいと思います。
伊豆漁業協同組合 仁科統括支所 支所運営委員長/龍海丸 船長
山田雅志